助長拔苗
日本の桜はもう既に満開だったが、ニューヨークは暖かくなったり、寒くなったりして、春の本格的な到来がなかなか待ち遠しいです。
徐々に大きくなっている花の蕾と緑が初初しい新芽を見せ始め、春の気配を少しずつ感じさせてくれているが、もっとぐいぐい成長して欲しいと思ったりします。天気のもどかしさとともに植物の成長振りもややもどかしく、手を貸して成長に手伝いたいと思ったりするくらいです。
こういう時に、中国の四字熟語『助長拔苗』を思い出します。古代のある農民は、苗が早く成長して欲しいと願って、苗を引っ張ってあげて、その成長に手伝ったつもりだが、そのため苗が枯れでしまったという諺です。
万物にはそれぞれ成長する過程があり、一人の人間の意志だけでコントロールできないことがたくさんあります。自然の原理を無視して、あえてその過程を加速させようとしたら、逆に害を与えることになってしまうという教えです。
目に見えないが、物事が刻々我々の望む通りに変化をしており、それを信じていれば、我々も度胸が据わり、その成長過程を楽しみながら、見守ることができます。それと反対に、信頼や度胸が足りない人は、不安と焦りを自分の行動で紛らわそうとします。そのような行動は、いい結果に結べないでしょう。
『助長拔苗』は、一見して極めて愚かな行動ですが、実は結構行なわれている行為ではないでしょうか。心を静めて自分の行動を点検しましょう。
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