優しいとは(2)

Facebookで友人のコメントした投稿で見たビデオ(出所は、ベトナムのメディアのよう)だが、ある航空会社のフライトアテンダントの服を着ている女性が、ベルトコンベヤーで運んでくる乗客のスーツケースを一個一個丁寧に拭いてあげています。そのビデオのタイトルは、「only possible services in Japan」。

確かに。同感です。乗客の荷物をベルトに無造作に投げる風景をあまりにも当たり前のように見てきた私たちは、こんなに大事に自分の荷物を扱ってくれる航空会社は、初めて目の当たりにするだろうし、ここまでサービスをしてくれるのは、日本の空港か日本の航空会社くらいではないでしょうか。

個人差もあるが、基本的には、日本のサービスは、本当に隅々まで思いやりがあり、世界一優しいと思います。

だいぶ前だが、私は日本の大学に通った時代に、あるリクルーティングを代行する中小企業でアルバイトをしたことがあります。アルバイトを始めたばかりの私の作業内容は、極めて簡単でした。不採用の通知書を三等分に折って、封筒に入れて、封筒の表に住所ラベルを貼るということ。私は仕事をテキパキとこなしていたところ、上司が進行具合をチェックしに来たら、ほとんどやり直しが必要だとコメントを下しました。

原因は、三等分の折り目は正しくなかったり、住所ラベルはやや斜めになってしまったりからだそうです。でも、それは要求が厳しすぎるのではないかな、そんなに物凄く斜めになったわけでもないし、手紙とはちゃんと届けばいいのではないかなと、私はあまりにも納得できていない表情を見せました。すると、上司は、「これは不合格の手紙だ。誰もがこんな手紙をもらうだけでも、あまりいい気持ちはしないはず。その上、もしその紙がきちんと折っていなかったり、住所も斜めになっていたりすると、余分に気分が悪くなるだろう。自分が大事にされていないと誤解するかもしれしない。だから、私たち辞退する手紙を送る側は、相手を尊敬しているという気持ちをちゃんと伝わるように、より一層丁寧に、手紙を送る必要がある」と説明してくれました。

こんな説明を聞いた私は、こんなところまで考えているのか、ここまで相手のことを思いやってあげているのかとすとんと腑に落ちました。その後、長い何月も経ったが、いろんな文化とも触れ合ってきたが、どうもその経験を忘れることができません。そのような仕事に臨む姿勢、およびお客さんを思いやる気持ちこそが、日本の一番の強みではないかと思います。

アメリカでは、今は周りへの配慮、他人への思いやりを提唱し、「Mindfulness」を一つの流行語のようになっていますが、日本に学ぶ余地が大いにあると私は考えます。将来大きく成長する組織は、人間性を無視するようないわゆる合理性ばかりを優先するような組織ではなく、顧客を初めとする利益関係者を深いところから思いやる、優しさの溢れる組織であるに違いないと思います。

知恵東西

ニューヨーク在住。中国 (C)、アメリカ(A)、日本(N)で学んだこと、考えたことを思うがままに綴る。

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