晴耕雨読

晴耕雨読って、すごくいい言葉だなと思います。晴れた日に外の作業をして、雨の日には家の中で悠々と読書するなんて、本当に素敵な生き方です。

この農耕時代の理想は、働き方改革などを意識し始めた現代社会に生きる私たちにとっても、もう実現できる段階に来ているのではないかと見ます。テクノロジーによって在宅勤務が出来るようになったのは、この生き方を実行可能にしています。そして、ポスト工業社会に、人間の自主性と独創性を高めるのにも、望まれるワークとライフのスタイルでもあるように思われます。

アメリカのアウトドア用品や衣料品を生産販売するパタゴニア社(Patagonia)の創業者兼オーナー経営者は、そのような働き方を逸早く導入した経営者の一人です。彼は、『社員をサーフィンに行かせよう』という本も出版して、天気のいい日は、社員をオフィス内で仕事をさせるよりは、海に行ってサーフィンにでも行かせよと訴えています。土日が定休日であっても、その定休日にいい波が来るというわけでもないからって。運動グッズの大手ナイキ社の創業者も、同じような社風を提唱しています。

ちなみに、パタゴニア社の創業者本人は、毎年の6月から11月まで夏と秋にかけての五ヶ月間は、仕事から一切離れ、海と山が豊かな地域に行って、釣り三昧の休暇をとっていて、その間に会社に電話するのは、せいぜい3回程度だと、本人がインタビューで明かしたのです。如何にも晴耕雨読のワークとライフスタイルの代表的な実践者だなと感心しました。

もちろん、この自由な働き方を有効にする前提条件があります。即ち、与えられた仕事をいつ・どこでやるのが自分の自由だが、決まった期限内にきちんと完了しなければならないことです。何しろ、ポスト工業社会と言っても、自分一人で仕事を全て完結するわけではなく、他人との協業が大事であるに変わりはないからです。

知恵東西

ニューヨーク在住。中国 (C)、アメリカ(A)、日本(N)で学んだこと、考えたことを思うがままに綴る。

0コメント

  • 1000 / 1000