出る杭は、優秀の杭でしょうか?

故事ことわざ辞典によれば、「出る杭は打たれる」というのは、「並べて打った杭が1本だけ高ければ、他の杭に揃うよう打たれることから」由来しているそうです。

それゆえ、このことわざは、すば抜けた才能のある人や頭角を現す人は、周りからねたまれたり叩かれたりすることのたとえとして、平均主義志向で誰もがリーダーシップをとらず、目立たがらずという社会風土を批判する時によく使われています。


しかし、抜きん出た優秀な人は、本当に出る杭のように叩かれるのでしょうか。私は、違うように思います。

出る杭は、優秀な杭ではなく、欠陥のある杭です。杭は、建物の基礎となるもので、地下に深く入れば入るほど丈夫です。特にたくさんの杭が必要な時は、杭の高さが揃えることは最も肝心なことで、他の杭より一本だけが高く出ている杭は、基礎作りにとって大きな邪魔であり、より多く叩かれるのは当然なことでしょう。

つまり、いくら高くて立派な杭でも、深く地下に入ることを求められる場所で、周りと同じような存在であることを求められる場合に、そのすば抜けた高さは、優秀どころか、もしろ障害です。

人間も同じで、優れた才覚の持ち主であっても、その居場所に求められている資質とマッチしなければ、優秀とは言えません。


自分の持っている特性を十分に生かせる場所、高く評価される場所を見つけることが人生が成功する秘訣の一つだと思います。しかし、その運命の場所を見つけるまでには、仮の居場所で、そこで求められるものは一体何かを見極めた上で、それに合致しない自分の特性を隠したり押さえたりして、求められることだけを黙々と提供できる人は、本当は賢くて優秀かもしれません。


出る杭を打たれるのは、杭の出る場合ではないからではないでしょうか。

知恵東西

ニューヨーク在住。中国 (C)、アメリカ(A)、日本(N)で学んだこと、考えたことを思うがままに綴る。

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