『スティーブ・ジョブズ』を読む(3)

ジョブズ氏およびアップル社は、様々な面で日本と深い関わりを持っていたし、特にジョブズ氏個人は、日本文化のファンと言ってもいいほど日本文化への憧れがあったと、彼の伝記を読みながら感じました。

まず、ジョブズと言ったら、あのトレードマークの黒いハイネックシャツ姿を思い出すでしょう。ジョブズ氏は、そもそもソニー社の制服に憧れて、アップル社の社員にも制服を着せようとしたが、社員に反対され、結局、自分自身の「制服」として、日本人デザインナーの三宅一生さんに頼んで設計してもらったのです。ちなみに、ジョブズ氏はいつも同じシャツを着ていたように見えたが、実は、三宅さんは、ジョブスのために100枚も同じスタイルのシャツを作ってあげたので、ジョブズ氏は多分着替えていたと思います。(ジョブズ氏は、あまりシャワーせず、靴も履かない時もあるというキャラであったため、仮に着替えしなかったとしても特に不思議ではないはず・・・)

また、ジョブズ氏はベジタリアンだが、一つだけ例外がありました。それは、彼が東京に行く時いつも泊まるホテルオークラの寿司レストランの鰻の寿司(英語版の本では、鰻となっているが、日本語のサイトで確認すると穴子となっている)でした。あんまりにも美味しいから、それを食べる自分を許していたそうです。

ジョブズ氏の禅好きも広く知られていることであり、彼の結婚式も彼が長年禅を学んだ日本人の老師が執り行ったし、禅の影響からジョブズ氏の「シンプル」や「ミニマリズム」の美意識が生まれ、アップル社製品のデザインの特徴にもなりました。

何よりも、アップル社が復活するきっかけになった商品iPodを可能にした技術は、東芝社の技術でした。次世代ミュージックプレーヤーを開発していたアップル社の高級管理職の方が、別件で東芝に訪れた際に、東芝の方から、1000曲の歌も入れるような小さいハードディスクを開発したが、活用する方法はまだ見つかっていないという話を持ちかけられた。アップルの方はピンと来て、その後すぐジョブズ氏に報告しました。その後、アップルと東芝と契約を結んで、iPodのキャッチコピーでさえも、「1000 Songs in Your Pocket.」にしたわけです。

とりわけ、今世界でもっとも時価総額の高い企業アップル社および、それを導いて来た彼の世代で最も革新的なビジネスリーダーと評されるジョブズ氏が受けた日本の影響は否めません。日本の文化と日本の技術にぜひ誇りを持ち続けて欲しいと願っております。

知恵東西

ニューヨーク在住。中国 (C)、アメリカ(A)、日本(N)で学んだこと、考えたことを思うがままに綴る。

0コメント

  • 1000 / 1000