『スティーブ・ジョブズ』を読む (1)

何年も前に出版されたWalter Isaacson氏が書いた『Steve Jobs』を少しづつ読んでいます。


一つのエピソードに引っかかりました。それは、当時売れ筋絶好調なアップル社のiPodは自社のMacだけではなく、Windowsを使うPCユーザにも適用させるかという点につき、ジョブズ氏はほかのメンバーと意見が対立したというエピソードです。


ジョブズ氏は、iPodは、 Macだけに適用した方が、Macの販売を牽引する効果があるという理由から、iPodは Windowsユーザに適用させるべきではないと強く主張しました。それと反対に、ほかの中核メンバーの四人は全員 、将来のアップル社は、Macだけを扱う会社ではなく、ミュージックプレーヤの会社でもあるべきという理由から、iPodはWindowsユーザにも適用すべきと力説しました。


数か月にも及んで議論した結果、ジョブズ氏の方が折れて、iPodをWindowsにも適用させる結論に辿り着きました。


その議論について、松下幸之助さんだったら、どう考えるのかなと思わず自分にお題を出しました。


松下さんは、良質な物を廉価で大衆の手に容易に届くという水道哲学で経営に臨んでいることから、恐らく松下さんは、iPodを欲しがる人々にMacを買わなくてもiPodを簡単に楽しめるように、iPod をWindowsに適用させるのでしょう。


また、松下さんは複雑そうな問題についても、根本の原点に戻ってシンプルに考えると思います。従って、松下さんはきっとそもそもどうしてiPodを開発したのかを掘り下げるのでしょう。Macを売りたいから、iPodを開発したということではないのは明らかです。実際に、ジョブズ自身も大の音楽の愛好家で、彼と同じようにコンパクトで曲がいっぱい入れるプレーヤを求める市場ニーズがあるという判断からiPodを開発したのです。従って、こう分析しても、松下さんは、iPodをより多くの人に使わせるため、 Windowsにも適用させると考えるのではないかと思います。


私の答案は正解かどうは、松下さんにお聞きしたいですね。但し、私心や損得計算に囚われると、目を霞ませてしまうのは恐らく間違いはないと思います。やはり迷うときは、原点に戻った方が、回答が自ずと見えてくるのではないでしょうか。 

知恵東西

ニューヨーク在住。中国 (C)、アメリカ(A)、日本(N)で学んだこと、考えたことを思うがままに綴る。

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