セントラルパークでの小さいな応援団

今朝、セントラルパークに散歩に出かけたら、7週間後に行われるニューヨークマラソン向けての調整ロングラン(Tune-up (18 miles))という予備レースに出くわした。セントラルパークの週末の朝には、いつも何かのレースがあるが、今日は、多分本番ではなく、予備練習のようなもののため、普段より応援者も係員も少なかったように見えた。

続々と走るランナーたちの隅間を抜けて、道路を横断したら、とても気持ちの良いベルの音が聞こえた。周りを見渡すと、コース沿道の内側の芝生に、小さいなピクニックシートの上に3人の応援者が座って、ベルの音はそこからだったとわかった。

母親と二人の娘のようだ。お母さんは30代後半か40歳くらいの金髪で知的な方で、二人の娘さんも金髪で10歳か10歳未満のような感じ。ベルを鳴らしているのはお母さんの方で、真ん中に座っている娘さんはポンポンを振って、もう一人の娘は、「あと48日だ!」と「私たちがランナーが大好き」という応援メッセージが手書かれた看板を掲げていた。3人は時々声を出して「You are doing great!」と、通りかかるランナーに励ましていた。

私は、その親子3人の後ろに回って、しばらく遠くから彼女たちを眺めた。見知らねランナーたちを温かく応援するこの無心な3人に、ぐっと感動されたのだ。しかも、魅せられたのだ。

ボランティアとか人に役に立つとかは、実はこんなに身近で簡単にできるものなんだなと、ピンときたんだ。何も声高に形式張る必要はない。走る人たちが疲れそうな時に、笑顔で心地よい音を出して、元気な色のポンポンを振って、励ましのメッセージを送ってあげるだけで、ゴールも見えずに頑張っている人たちにとっては、一瞬でも元気づけられることでしょう。

しかも、本番のレースだと応援者はいっぱいいる時ではなく、このほかの人が見逃した予備レースに、マラソンランナーにとって本番に向けての大詰めの時に応援に来るのは、一層深い思いやりがあるように思う。

しかし、何よりも私に強い感動を与えてくれたのは、この3人は親子であることだ。このお母さんは、身をもってボランティア精神を行動で子供に教えているのだ。いくら言葉で説教しても、このような教え方には敵わないだろう。最近読んだ「Mindful Discipline」という本にも書かれたように、子供は親の言うことを逆らうことはしばしばあるが、親の模倣をしない子供はほとんどいないって。

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日曜日の早朝に、自分と何のゆかりもない人のために、自分にとって何の直接な利益にもならないのに、貴重な時間とエネルギーと愛情を捧げるような行動をとらせるような家庭は、心に余裕のある家庭で、品のある家庭だろうし、このような教育こそが、真の意味でのエリート教育ではないか。本当の上流クラスは、金や地位より、品格が高くなければ意味がないと私は考える。

この親子3人の後ろ姿を眺めながら、このようなお母さんに育てられた娘さんたちは、将来はきっと思いやりに満ちた、愛情深い女性に成長していくだろうなと、勝手に想像を膨らました。それと同時に、自分も親になったら、絶対にこのような親になって、このように子育てをしようと決心した。

そういえば、約三週間前に、私はペットの保護施設でのボランテイア活動に関するオリエンテーションに参加したのに、その後まだ正式な登録手続きを済んでいない。今日中に必要な書類を提出して、早速ボランティア活動を私も始めよう。

知恵東西

ニューヨーク在住。中国 (C)、アメリカ(A)、日本(N)で学んだこと、考えたことを思うがままに綴る。

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